歴史を知るということは、先を見るということ。

  • 2007/05/19(土) 22:44:20

来週の頭から、夏休みの哲学のクラスの一貫で、チェコとポーランドに行く。
その哲学のクラス、「philosophy of freedom」というんだけど、ホロコーストを通して人間の自由を問うという内容。クラスメイトは10人程度!旅行にはちょうどいい人数。留学生ひとりだし!
prague

プラハの時計台

で、出発は来週なんだけど、授業はもう始まってる。先日、出発直前ということで、教授がアウシュビッツに収容されてた方をゲストスピーカーとしてよんでくれた。
今日はそのholocaust survivorのおじいちゃんについて書く。もうよぼよぼので耳も遠い白髪のおじいちゃん。「座ってたら寝そうだから立って話すよ」といって、立ち上がったんだけど、2時間も立ってられる?というくらい、お年を召した方でした。
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ユダヤ人の彼はチェコスロバキア(当時)はプラハ生まれ。コックとしてプラハのレストランで働いていた。その時にもすでに、ユダヤ人は胸に黄色の布で作った"Jude"と書いてあるバッジをつけるのが法律だった。
jude.jpg
これ↑。公園や映画館などの公共の場も使用禁止だったそう。
ヒトラーの勢力がオーストリア、チェコスロバキア、ポーランドにもおよび、彼は21歳の時にアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所に連れて行かれた。プラハからアウシュビッツまで、電車では長くても5時間しかかからないそうだけど、彼が載せられた電車は3日もかかり、各車両に100人がぎゅうぎゅう詰めにされ、トイレと呼ばれるバケツ一つを皆で使ったそうだ。

15歳以上は無料の労働力として使われた。15歳以下でも、兵隊に「君は15歳だ」と言われると、労働者に加わらなければならなかった。

与えられた食事は、3センチ角のパンに、朝はコーヒーと呼ばれる濁った水、夜はスープ。彼はスープの列に並ぶ時、いつも出来るだけ後ろに並ぼうとしたと言ってた。というのは、前の方に並んでも、鍋の上澄みの液体しかもらえず、後ろに並べば並ぶ程、小さくても野菜や豆などの具が入るから。
「でも、ほとんど成功しなかったんだよね。もたもた後ろに並ぼうとしたら、兵隊から蹴られるからさ」

もちろん食事は足りることなく、ちょうどゴミ捨て場の作業をしてた彼は、捨ててある玉ねぎを見つからないように食べてたそう。見つかると彼だけではなく、グループ全員が罰を受けないといけないので、彼がとった方法は、猛スピードで食べること。根っこも皮もついたままの玉ねぎを、監視の兵隊が来る前の一瞬の間に口につめこんだそう。酸味で涙と鼻水が止まらなくて、おまけに緊張してたから全身から汗が出た。と言ってた。

私は、アウシュビッツというと、残酷なこと以外何も想像できなかったけど、おじいちゃんの話によると、毎晩、皆で歌を歌うことを収容されてた人達皆が楽しみにしていたそう。歌っていたのは、誰もが知ってるモーツァルトのオペラ、はやってたポップソングなど。そしてユダヤ人と一口に言っても、みんないろいろな職業を持ってるわけで、学校の先生をしてた人達は、夜になると、収容された子ども達に勉強を教えてたそう。なのでアウシュビッツが解放され、学校に戻ったユダヤ人の子ども達は、他の子達と全然変わらない教育レベルだったそう。

彼のしわしわの左腕の内側には、囚人番号が彫ってあった。タトゥーなので一生消えない。「B 0055xx」というように、ビルケナウの"B"のあとは彼の番号が並ぶ。全てが6センチ程に収まる意外に小さい文字。タイプすると機械的な数字に見えるけど、おじいちゃんの腕の番号は、老とともに腕に馴染んでぼやけていた。

ちなみに彼がどうやって生延びたかというと、チャンスを見つけて脱走したから。ちょうどその時に脱走した人が10人程いて、彼らと一緒に数週間山にこもり、戦争が終わって、また6週間かけてチェコに戻ったそう。彼の家族は知人に頼んで、収容所のリストから抜いてもらってた。これは彼自身も知人がどうやってリストから外してくれたかわからないと言ってた。

このおじいちゃん、アメリカに移り住む前にもイスラエルに住んでたという、移民なんだけど、英語が達者ですごくおしゃべりだった。アウシュビッツの生き残りの方と聞いて、どんな残酷な話がとびだすかと思ってたけど、2時間半のお話の中、最初の1時間と最後の30分は音楽と彼の恋人の話だった。でも、最初から最後まで共通してたのは、ユーモア。話は残酷なのに、ちょこちょこ笑えるポイントを入れていて、聞いてる方も遠慮なく笑った。

たとえば、腕のタトゥーを彫られる時の話。彼がタトゥーをいれるとき、彫ってくれる人が3人いて、収容された人達はその3人の前に並ばないといけなかったらしい。彼はとりあえず一番前までいって、3人の中で一番上手に彫ってる人を選んで、その人の列に並んだそう。「すごいおバカな話だけどね」
彼の恋人、後の奥さんの話もそんな感じ。「彼女を落としたかったから、ダンスは嫌いだけど、しょうがなくダンスに誘ったんだよ。女の子は踊るの好きだろ?」
終わりの一言には、「偉いなーこのクラスは。誰も寝なかったね。」

当初は2時間の予定が、2時間半のお話になった。
最後の質問の時間がほとんどなくなってしまったんだけど、私は絶対聞きたいことがあって、終わった後に直接聞いてみた。
「how do you expect your audience, especially younger audience to respond or feel after listening your experience?」
でもおじいちゃん、耳が遠くて、私は近くで大声で言ったけど、younger audienceとrespondしか聞こえてなかったみたい。「小学生の子達は大学生のように質問しないから、後でメールとか手紙がいっぱい来る、ほんとにいっぱいくるんだ」との答えが返ってきた。

次の「何で残酷な体験なのにユーモアを交えてはなせるの?」はちゃんと伝わってたようで、「聞いてる人達を悲しい気持ちにしたり、泣かせたりしたくないんだよ。それに夜ご飯食べたくないとか言ってほしくないし。君たちはまだまだ若いからね」
と、私はこれを聞いたとたん、辛い経験をしてるのに、なんでこんなにも明るくて、やさしさを持って人に接することが出来るんだろうと思った。彼がどんなに痛い思いをしたか、悲しい気持ちになったか、どんなに考えてもわからない。最後、「That's why I'm here」と言ってハグしてくれた。そのとき触れあったおじいちゃんのふよふよした頬がすごくあたたかくて胸がいっぱいになった。じわーっと涙がにじんでしまったから、急いで教室を出た。

私はこのクラスと旅行を無駄にしたくなくて、今、ナチスの政治や歴史について調べたり、ドキュメンタリーを見たりして、できるだけ知識を取り込もうとしている。知識を得る、学ぶというのはエンドレス。知れば知る程、全部を吸収するのは不可能なのがわかる。でもまずは興味を持つことから始まる。

おじいちゃんは「That's why I'm here! このために来たんだよ」と言った。おじいちゃんが言った、「That’s why」に答えてみる。私が質問したかった、「あなたは、話を聞いた若い世代の子達に何を望みますか?どう感じると思いますか?」には答えてくれなかったけど、それはもしかしたら若い世代である私が、彼の意見に左右されずに考えるべきじゃないかと思う。 話している間、おじいちゃんは一度も哀しい顔をしなかった。残酷な歴史を体験した張本人は、老いてなお、先を見ていた。今、私ひとりでも出来ること。だからこのブログを書いた。かなりちっぽけな行為。一人の人間の無力さを痛感する。でもこれがいくつも集まれば、何か変わる、良い方に変わると思う。
できるだけ多くの人が読んで、何か思ってくれると良い。






No music, No life?

  • 2007/05/13(日) 23:49:11

特にバンド組んだり、ギターが得意だったりするわけではないけど、”No music, no life”という言葉は私に合ってる気がする…
てことで、私の好きなUSバンドを2組紹介。「Rooney」と「The 88」。どちらともカリフォルニアベースで、私のハートをがっちりつかむ、ステキなバンドです。私がこの2組を好きな理由としては、どちらもカリフォルニアのスローで太陽がいっぱい降り注ぐ広い道路を思い出させてくれるから。合計半年くらい滞在した南カリフォルニアには、かなり濃い思い出がつまっているのです。生まれも育ちも海がある町だったからか、beach citiesにはとても思い入れがあります。

まずは「Rooney」というロックバンド。ちなみにこっちで人気のカリフォルニアのティーンをフィーチャーしたドラマ、The OCでも紹介された、というか劇中でライブまでやったバンド。たとえばUSでは誰もが知ってるSimple Plan、all-american rejectsとかgood charlotteが好きな人は絶対気に入るはず。小さなライブハウスでもみくちゃにされ、汗まみれになりながら聞くのが一番似合うバンドです。

彼らがRooney↓
rooney


私も持ってるRooneyのアルバム。↓
朝ベッドから出たくない時に、むりやり起きてこのアルバムを聴くと目が覚める。
rooneyアルバム


さて、次は偶然ライブまでみちゃった(in Newport Beach, CA)バンド「The 88」!彼らの曲ははっきり好き嫌いが別れると思う。特徴としては2,30年昔を彷彿とさせるレトロな曲調、そして少々ねちっこい歌声。ライブで初めて聞き、ロックだけど、こういうのもあるのか!ていうかアリだな!と思って、これもまた、The OCを見た時に、「how good can it be」という曲がBGMで流れてきて、あれ、どっかで聞いたことある!と思い、ウェブで検索して、また出会ったバンド。あ、そういや一昨年ライブで偶然聞いたのか!

彼らがThe 88↓
the88


今回は2組を紹介したけど、どんなジャンルの音楽にも共通していることは、
音楽には過去を思い起こさせる力があるということ。今ハマって聞いてる音楽も、その後時を置いて聞いたらその頃の自分がよみがえってくるものです。





レスラーマスクの魅力 to me

  • 2007/05/13(日) 22:53:22

誰かが初めて私の部屋に遊びにくると、絶対にびっくりし、且つかなり気に入ってくれるものがある。
それは、レスラーマスクon my suitcase。
myroom.jpg

来客の中にはかぶってみる人あり、なでる人あり。また、私にかぶってと要求する人あり。

拡大するとこんな感じ↓
マスカラスその2


ボストンの隣の市ケンブリッジのとあるエスニック雑貨のお店で迷うこと2年。去年の夏、ようやく買うに至る。20ドル也。
何種類もあるマスクの中から買ったのは、ミル・マスカラス、というかつてはイノキと戦ったこともある(…と記憶している)メキシコのレスラーのマスク。オデコに「M」とあるのが特徴。MはMでもマゾの「M」ではなく、マスカラスの「M」である。

マスカラス


一つ買ったはいいものの、最近まだレスラーマスク熱が上昇し、もう一個欲しい!きがする。どこがとは言えないけど、かなり魅力的なレスラーマスク。一つ確実なのは、えも言われぬ存在感。きっと私の部屋に来た人もその存在感を素早く察知するんだと思う。存在感ていうか、見られてる!っていう感じ?そしてまた頭の形に凝縮されたファッション性、というかアート性を秘めてるのもステキ。

近々、マスカラスの色違いを購入予定。今度はピンクとみどり!





I love DUCK!!

  • 2007/05/13(日) 21:54:06

私はとある小さな雑誌に"食"の記事を書いています。
この記事のために、まだまだペーペーな私だけど、毎月のようにボストンにあるレストランで取材をする機会がある。
ここ数ヶ月、フランス料理を食べる機会が何度かあり、取材の時に出されるレストラン側のおすすめメニューに、Duck Confit(ダックコンフィ)という鴨の料理があるんだけど、最近、これにハマっているのです。
ダックコンフィ

これです。↑
「コンフィ」とは、フランス料理で保存食を作る際の調理法。フルーツやお肉が使われるんだけど、たとえばオレンジをコンフィにするなら、砂糖で甘く煮て瓶詰めになったりします。
鴨のコンフィは、作り方がちょっと違う。お肉を塩でまぶして、そのお肉の脂肪、鴨なら鴨の脂肪を使って低温でゆっくり、長時間煮る。そしてその油と一緒に冷やして、食べる時にお肉の両面を、焦げ目がつくまでじゅーっと焼くのです。

ちなみにダックコンフィの何がおいしいかというと、シャキシャキと歯ごたえのある鴨の肉に塩味が利いて、旨味とお肉の風味がうまく際立つとこ。そして冷めてもおいしい。焦げ目がうまい具合についてたら、香ばしさも加わってまた一段とおいしくなる!

ちなみに、先日、ルームメイトの誕生日パーティーをした中華料理のお店で食べた北京ダックも絶品だった!日本では皮しか食べないけど、こっちはちゃんとお肉も食べます。北京ダックのダックは、鴨というよりもアヒルだけど、やっぱり、鶏肉とは違ったシャキシャキした歯ごたえが特徴。
このお店では、お肉を切り取った後に残った骨でスープをつくってくれるんだけど、薄味で、家では絶対につくれない骨の深い味がにじみ出ています。
北京ダック

そのとき食べた北京ダック↑。全身です。アヒルの顔が笑ってるように見えるのは私だけ?

ダックコンフィにしろ、北京ダックにしろ、時間をかけて作られる手の込んだ料理って、そのかけた時間の分のおいしさが出てる。骨の髄から出るもん。





最近見た映画

  • 2007/05/13(日) 21:18:53

2006年のお正月、私は一年の目標をたてた。
「映画を200本見ること」
結局去年は160本弱しか見れなかったけど、DVDをかりて見る、ということが日常生活の一部にうまい具合に取り込まれて、2007年5月現在、未だに昨年と同じような感じで映画を見てる。今のとこ、約50本。

さて、セメスターも終わり、なつのクラスもまだ始まらない今は、映画の見時、ということで、ここ2日で見たのは4本。
・「Adolf Hitler, his life」☆☆☆
・「Always 3丁目の夕日」☆☆(まあまあ。もうちょっとうまく編集できたはず)
・「フラガールズ」☆☆(まあまあ。ダンスシーン足りない)
・「かもめ食堂」☆☆☆☆

ヒトラーのドキュメンタリーは資料程度で見たのでまあおいといて、群を抜いて良かったのは「かもめ食堂」。

内容は、フィンランドはヘルシンキで食堂を開いている女性と、ひょんなことからそのお店を手伝っている二人の女性の日常を、ゆっくりした雰囲気で描く。…という感じ。

まずはキャスティングに拍手。小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、という3人ともまったくにてないけど、同じカテゴリーに分類されるのではないかと思われる、独特な雰囲気の女優達。
次にインテリア、ファッション、街の雰囲気が統一されてたのに拍手。無駄なものを一切排除しつつも、必要なものの中にオシャレさをつめこんだ、というフィンランド、というか北欧独特の心意気がでてた。そしてIKEAを思い出さずにはいられない家具とシャツの模様!
最後に、あるようでない日常、ないようである日常、を見てる側に感じさせられる作りに拍手。時間がゆっくり流れてるんだな、ヘルシンキは。orあの食堂(というかカフェ?)の中では時間がゆっくり流れるような気になるんだろうか。

そして、この映画を見た誰もが、あの食堂に行ってみたい!と思うはず。


かもめ食堂


この映画を見て、そこだけ時間がゆっくり流れるカフェに行きたくなった。
明日はリトルイタリーのカフェにでもいこうかな。
晴れると良いけど。

ちなみに、映画の中で、コーヒーを入れる時のおまじないで、ドリップする前のコーヒーに人差し指を立て入れて「コピ・ルアック」と言ってた。この「コピルアック」は劇中でも出てた、甘いコーヒー豆を好んで食べる動物の排泄物から出来たコーヒーなのだそう。ちょっと抵抗あるけど、コーヒー好きとしては試してみたい…